アボカドかグレープフルーツか
住んでいるアパートの一階の庭に、一応花壇のように石で囲われたスペースがあるが、一階の住人には、そこに花を植えるとか風流な、というか酔狂な人は一人もいない。
花壇は万年、自生したどくだみでいっぱいになっていた。
ところが、ある朝、一面に生えていたどくだみが全部刈り取られていた。
たぶん、大家さんか管理会社が刈っていったのだろう。
一応、どくだみだって、薬草だし役に立つものなのだが。
で、刈り取られずに済んだ一本の木があるのだが、これは、私がここへきて間もない頃、芽が出かかった食べ物を、ここに植えた記憶がある。
アボカドだったかグレープフルーツだったか忘れてしまったが、とにかくそのどちらかである。
基本二階の住人が、一階の庭へ出るには、狭い塀と建物の間をすり抜けて無理矢理出なければならず、植えてからしばらくは水やりに来ていたが、後は放置していた。
にもかかわらず、こんなにすくすくと育った。
実がなるにはまだまだだろうが、果たしてアボカドがなるのか、グレープフルーツなのか、今から楽しみである。