読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

狂人作家         黒田幻の日記

    心理学・精神分析に興味を持っていた社会不適応者。ついに自分自身が精神病になる。    幻覚・幻聴実体験記「狂気」絶賛発売中!

近況

 近所のお年寄りの買い物代行などをしている事は、以前のブログで書いた。

 買い物は、着替えなどの介助と比べれば楽であるが、でも、毎日、毎食のパンと弁当を買って来るのは、それなりに大変だった。

 まぁ、食事を作るとかより楽だけど。

 

 で、今週の事であるが、ケアマネージャーさん(ヘルパーさんを取り仕切っている人)から、

「この状態でいると、あなたが、遺産目当てで○○さんに近づいていると近所の人から思われる」

と言われた。

で、電話で話し込んだ結果、買い物などはヘルパーさんに頼む、毎日ではなく、週2位顔を出す程度にする、長居はしない、という話になった。

 だが、翌日ヘルパーさんに話すと

「急に買い物一切から手を引かれるのは困る。ヘルパー同士の調整も必要で、その体制が整うまで、あと一週間位はやってくれないか」

という話だった。

 この板挟みみたいな状態もそうだったが、何より「遺産目当て」という言葉が出て来たのが、かなり不快だった。

 

 私は、元々、どこか冷たい所があるというか、人間として何かが欠如しているという自覚があるから、意図的に人に親切であろうと心がけていた。

 それは、宇都宮健児さんを知ってから、

「人間、この人のような心がけで生きるべきだなぁ」

と、感動した、という、しごく単純な動機なのであったが、そのように、親切のつもりでやっている事が、「遺産目当て」と思われる、というのは、とても心外だった。

 

 「十人いたら九人はそう(遺産目当てだと)思うわよ」

ケアマネージャーさんが、どういうつもりでそれを言ったのかも、色んな可能性が考えられて釈然としなかった。

・世間とはそういうものであると客観的に伝えただけ。私が近所から怪しまれるのを事前に防いであげるつもりだった。

・単に意地悪で嫌がらせを言っただけ。

・私が本当に遺産を狙っていると思っている。お年寄りを守るために、私を引きはがそうとして、確信を突いた。

などなど、考え出すときりがなかった。

 

それで、今日、精神科の通院だったので、その事を先生に話したら、

「ヘルパーさんの方が現場を知っているから、急に買い出しを止められたら困る、というのは切実だと思う。ケアマネさんの言い方はちょっと悪意があるね」

と、言ったので、

「じゃあ、ヘルパーさんの言う通りにして、ケアマネさんの言葉は聞き流せば良いのかな」

と、思いつつ、クリニックを出て、薬局に寄り、遅れて作業所に向かったのであるが、作業中、またケアマネさんの言葉の真意は何か、普通の人は、本当に十人中九人は遺産目当てと思うのだろうかと、気になってしょうがなくなったので、昼休み、職員さんの一人に相談してみた。

 

 そうしたら、その反応は意外な事に

「噂だけで済めばいいけど、あなたの、お金を預かって買い物をするっていう今の状況は、もし、そのお年寄りに何かあった時、親戚から、横領とか疑われても身を守れない立場ですよ」と、言われた。

 結局、副代表の人とも相談することになり、お金を預かるような手伝いは一切しない方が良い、という話になった。

 今まで、レシートを見せても、そのご老人は、

「私は、金に細かい事は言わないから、とぽいっとすぐゴミ箱に捨てていた。

 私に預けている分のお金が少なくなる頃、というか、その前辺りから、

「そろそろ足りなくなるんじゃない?」

と言って、5千円とか1万円を渡していた。

 副代表は、

「あなたが正当に使っていても、それを証明する証拠が一切無いのはまずい」

と言い、あと1週間かもしれなくても、これからはレシートは取って置くように、と念を押した。

 そして、今後はお金を預かる手伝いからは一切引かしてもらうべきだと。

 

 作業所が終わって、携帯をみると、メインで入っているヘルパーさんから不在着信が入っていた。

 家に帰ると、ヘルパーさんが来る予定の時刻に合わせて、ご老人を訪ねた。

 その日来るのが、メインの人だったら話がしたかった。

 そのご老人本人に、何かあったら、という言い方はしなかったが、

「レシートは取って置けと、相談した目上の人に言われたので、これからはノート(ヘルパーさん同士のやり取りと私も時々書き込むノート)に貼っておきます」

と説明していたら、チャイムが鳴った。

メインで入っているヘルパーさんだった。

 数日前までは、一週間位は買い出しを続けて欲しい、と言っていたのに、なぜか今日は、

「来週の月曜から買い物の事は一切こちらでやります」

と、いう事だった。

 ただ、その言い方はそっけなくではなく、私に対する礼儀というか、気配りとかがとても感じられる言い方だった。

 

 こうして、毎日の買い物からは、やっと解放されることになった。

 ヘルパーさんは、今まで私がやって来た事を急に取り上げられるのは心外ではないかと心配しているようであったが、そういうのは一切ない。

 ただ、そのお年寄りが、今までは週のうちのかなりの日数、一緒に夜お弁当を食べていたのが、急に週1日とかになったらさびしいんじゃないか、というのが気がかりだった。

 

 しかし、実の処、毎日は私も疲れて来ていたので、週1、2回とか訪問すればいいだけになるのは楽だった。

 気がかりなのは、今までなんとなく、引き留められるがままに、毎夕食を共にする、という習慣を作ってしまったのは、まずかったかも、という後悔だ。

 

 ご老人は、今の所、デイケアとか行きたくないと言っているらしい。

 だと、顔を合わせるのはヘルパーさんと私だけになってしまう。

 そのうち、デイケアにも通って友人ができたり、車椅子にも抵抗が無くなって、以前馴染みだった店にも顔を出せたり、できるようになればいいなと思う。