狂人作家         黒田幻の日記

    心理学・精神分析に興味を持っていた社会不適応者。ついに自分自身が精神病になる。    幻覚・幻聴実体験記「狂気」絶賛発売中!

最近、興味を持った人物について

 このブログの中でも、かなり有名な人らしいので、名前を出さなくてもわかる人にはわかってしまうと思うのだが、とても興味深い人物がいる。

 

 かつて、彼のtwitter上でのつぶやきを、私のfacebook友達が紹介した時、私はそれに悪態をついた。

 「家族のせい、環境のせい、社会のせい、年齢のせい、性別のせい、誰かのせい、何かのせいにしている方が、多分、楽なのだと思う。自分以外の何かを悪いと言う、そうしている間は自分を見ないで済む。自分を変えないで済む。自分を真剣に生きないで済む。そして、自分の可能性を喪失していくのだと思う。」

という彼のつぶやきに、

 「この〇〇とやらが、来生は親に虐待され、学校ではいじめられ、性同一性障害を持って生まれても、同じセリフが吐けるかどうか、見届けてやりたいな。」

と、私は書いた。

 

この気持ちは今も変わらない。

 実際、この人は性同一性障害は持っていないんだから、安易に「性別のせい」を持ち出してくるのは頭に来る。

 

 だが、ブログを読んでいると、どうやら多動持ち(ADHD)らしいのだ。

 それゆえに、学校でも適応できず、親とはかなり激しいケンカになったりしていたらしい。

 

 ブログは、全部読んだ訳ではないが、かいつまんで読んだだけでも、かなり興味深い。

そして、深い。

 

 深いのは認めるんだけど、私はそうは思わないな、という点や、つっこみどころなどは多々ある。

 

 例えば、

「神様は、自分を生きている人間を決して見捨てたりしない」

というのは、私は、神なんかいないかもしれないし(絶対いないではなく、不可知)、必死で生きていても悲惨な目にしか遭わない人間はごまんといるではないか、と思う。

 

 それでも、彼の実験的生き方は、とても興味深い。

 

 数年間、テント生活をしていたらしい。

 でも、他のホームレスの人達と決定的に違うのは、彼はかなり意図的に、自分を外に向けてアピールしていた事だ。

 その能力と努力があって、善意の人間を周りに引き寄せる事には、けっこう成功している。

 

 一番すごいのは家をもらった、という事だろう。

 そこで、彼はその家を普通に使うのではなく、誰でも入って来れるように鍵を閉めず、玄関に誰でも使っていい財布を置いておく。(いくら入っているのかは知らない)

 

 私だったら平凡に、その家に暮らして、細々と食べていけるだけのバイトをし、あとは好きな事に費やす、と思う。

 ここで、彼が、そういう家の使い方を選択した、というのは、私より彼の方が非凡である、という事実は認めざるを得ない。

 

 彼は1000円で何でも屋的な事をやります(実際には奴隷という、かなりきわどい言葉を使っている)と、ブログでアピールをする。

 セックスして欲しいという要望もあるらしい。

 

 いわゆる「神待ち」の家出少女と一緒の立場でさえある。

 だが、他の「神待ち」少女と違うのは、自分を外に向けてアピールする事を常にやっていて、彼を買う女性は(これから男性が現れたら、どう対応するのだろう、と不謹慎ながら興味を持って眺めている)、彼の思想に共感や理解を示す、彼のファンであるという点だ。

 

 ここで、私は、以前本で読んだ、旅をしながら各地を転々と彷徨って生活した一団の事を連想する。

 僧侶、芸人、遊女などが一緒に旅をしていたのだ。

 そして、身分的には非人と一緒ながら、時の権力者とも交流したりしていた。

 

 ここには、発達障害で、普通の職に就く事が困難だった人々がどう生きていたか、のモデルをおのずと再現したともいえる生き方が提示されている。

 

 アスペルガーは自分のペースを乱されさえしなければ、単調な仕事を黙々とやっていられるので、比較的、就労の場をつくりやすいかもしれない。

 

 だが、ADHDは、上に書いたように、旅をしながら各地を転々とする生き方しか向いていないのかもしれない。

 

  彼が今後、どうなるのか、目が離せない。

 むかつくつぶやきも多々あるのだが、彼の実験は、基本的に応援している。