狂人作家         黒田幻の日記

    心理学・精神分析に興味を持っていた社会不適応者。ついに自分自身が精神病になる。    幻覚・幻聴実体験記「狂気」絶賛発売中!

朝起きた時

 「友達の家に泊まった時とか、朝起きた時にどこにいるのか分からなくてアセる事あるよね」と仕事場の人達が話していた。

 

 そういえば、私は、朝起きたての時、軽い記憶喪失みたいになる事があって、それは本当に0.何秒位の短い間なのであるが、今がいつだかわからない、すごい時は自分が今何歳で、この世界の中でどういう存在なのか(つまり、ここはどこ?私は誰?状態)わからなくなる、というのが度々あった。

 

 でも、アセらない事が多い。

 どちらかというと、夢の中で、今がいつで自分が何者なのか関係なくただ存在している、という状態の方が居心地が良くて、目が覚めて記憶が戻ってくるまでの0.何秒間かの間、ああ、また窮屈な状態に連れ戻されるんだ、という感じが、深い悲しみと共にやって来るのだ。

 

 最近は、ゆるい職場にいられるせいか、自分の存在にそんなに悲壮的にならずに済むので、あまりそういう状態にはなってないが。

 

 こういう事を言うと逃げだと言われるのかもしれないが、自分というものを取り巻く属性~ルックスだとか年齢、性別だとかは、基本、自分の内面とは関係なく自分を縛るものでしかないと感じている。

 

 私は、死ぬとき苦しい死に方は嫌だなという恐れはかなり持っているが、死ぬ事そのものに対してはあまり恐れがないのは、夢の中でそういう、属性から自由になって、ただ存在して色んな出来事を全て俯瞰し、感じている、という状態を味わった事が、幾度もあるからだと思う。

 

 ただ、本当の死というものが、そういう状態であるという保証はどこにもなく、そういう夢が見れるのも生きている証拠で、死んだら意識も何も無くなるのかもしれないが、それでも漠然と、そういう時の夢心地の状態が死なんじゃないかと、根拠もなく思っていたりする。

 

 そして、もし、私が、自分のルックスも人生も望み通りだったら、果たしてそういう夢を見るのかどうかも、興味深い所でもある。