狂人作家         黒田幻の日記

    心理学・精神分析に興味を持っていた社会不適応者。ついに自分自身が精神病になる。    幻覚・幻聴実体験記「狂気」絶賛発売中!

Aセクシャルとエロい人

 Aセクシャルというのは、人生ずっと性欲が無かった人の事を言うのであって、自分みたいに途中から興味が無くなった、という人に対しては言わないらしい。

 

 なぜ途中からなのかは、一つには子宮体癌という病気になって、子宮・卵巣を摘出して、自分の体内で作られる女性ホルモンが無くなり、かつ、昔、男性ホルモンを摂取していた時期もあったが、その頃にはすっかり止めていたので、男性ホルモンも女性ホルモンも今は体内に無い状態であるからだ。

 もう一つは、体重が増加したので、もう誰にも自分の裸は見せたくないので、そういう事をやる気が起きないから。

 

 性欲が無くなってみて分かったのは、性欲に振り回されずに済む、という利点もあるが、欠点といえば、コミュニケーションツールの一つが無くなった訳である。

 

元々、私は酒が飲めないので、それだけでも他人よりコミュニケーションツールが一つ足りない状態だった訳だが、さらにまた減ってしまったのである。

 

 たまに、エロい出会いのネタでブログを書いている人もいるが、確かに本人にとっても、退屈はしないだろうな、と思う。

 

 話がちょっと飛ぶが、昔、まだ10代の頃、「君は子供顔からおばさん顔に直接なるタイプだね」と言われて、その事が気に入らなくて、延々その相手に文句を言い続けた事があった。

 図星だった事もあるが、それは単に顔の造形のみならず、私の子供の頃からの特殊なコンプレックスというのが積りに積もっていたからだった。

地味顔の自分、星占いでも安定していて冒険はしないタイプと言われ、親からは派手な事につながりそうな習い事は一切させてもらえず、という自分の望まない自己像しか手に入らない人生を如実に言い当てられた気がしたからである。

 

そう、子供の頃の私はスリルが欲しかったのである。

ひたすらそれを、悲しい位に切望していた。

 

だが、常に実年齢よりも下に見える私の若き日は、全くスリルなど手に入らなかった。

スリルを求めて出会ったはずなのに、出会う相手はことごとく束縛、過干渉というタイプになった。

 

 私は20歳の頃、小学生に間違えられたりしていた。

 だが、ようやっと40歳の時に、20歳に間違えられるようになった。

 私は、いよいよおばさん顔になる寸前の所で、SMバー、ハプニングバーなどで働いてみたりした。

 まぁ、それなりに面白かった。

 わかったのは、自分はSでもMでもない、という事だった。

 

 で、すでにおばさん顔になってしまった自分が振り返って思うには、馬鹿げているかもしれないけれど、後悔はしていないのだった。

 

 今はそんなこんなでエロはもう飽きたが、おばさん顔になって体重も増える前に飽きる事が出来て、本当にラッキーだったと思う。でなければ悲惨だ。

 

 ところで、出会いを人生の主要な娯楽にしている人達は、もし、ある時突然性欲が無くなったらどうするのだろう、と思ったりする。

 

 たぶん、別の楽しみを見つけるのだろうけど。

 

 今の私だったら、たぶんもう「子供顔からおばさん顔に直接なったタイプ」と言われても、怒らないだろう。